【米国株】量子コンピューティング市場の成長予測

世界の量子コンピューティング市場、そして主要セクターの株式市場を含む市場の見通しは依然として明るい。BCC
リサーチのデータによると、量子コンピューティングの商用市場は2025年の16億ドルから2030年には73億ドルに拡大すると予測されている。これは今後5年間の年平均成長率（CAGR）が34.6%となることを意味する。

しかし、量子コンピューティング関連銘柄に関しては状況が少し異なります。確かに業界の成長は重要ですが、投資家にとって真に重要なのは、業界株に影響を与える根本的な問題です。

「量子市場は依然として潤沢な資金が集まっているが、多くの人がその捉え方を誤っているというニュアンスがある」と、テキサス州オースティンのテクノロジー業界分析グループ、フューチュラムのチーフ市場ストラテジスト、シェイ・ボロア氏は言う。「これは勝者総取りの市場ではなく、勝者層獲得の市場だ」

ボロア氏によると、真の問題は、今後5年から10年の間に企業が実際に支払うことになるレイヤーをどの企業が所有するのか、ということだ。「例えば、IonQはすでに製薬、航空宇宙、物流の分野で1億ドル以上の商業契約を獲得しています」とボロア氏は言う。「それが重要なのです。もしこれがまだ『10年早すぎる』としたら、このような契約は成立しなかったでしょう。」

量子コンピューティング（QC ）市場は今や十分な資金が集まっており、投資家はそれが研究段階の誇大宣伝から早期の商用導入へと進展していくのを目の当たりにしていることは間違いありません。「業界投資は2025年の最初の5ヶ月だけで2024年の総投資額の70%にも達し、その勢いを如実に示しています」と、証券会社比較サイトBrokerListings.comの株式市場アナリスト、ポール・ホームズ氏は述べています。「昨年は、主に国家安全保障と競争力強化の優先事項に関連する政府からの2024年投資額が31億ドル、ベンチャーキャピタルからの投資額が26億ドルありました。」

商用量子アプリケーションのタイミングに関する継続的な疑問は業界を悩ませ続けていますが、それが現在テクノロジー投資家の焦点となっています。

「完全なフォールトトレラントシステム（エラーフリーで安定した大規模量子コンピュータ）が成熟するには、5年から10年かかることが分かっています」とホームズ氏は語る。「近い将来、NISQ（ノイズの多い中規模量子コンピュータ）時代が到来し、金融、物流、創薬といった分野で既にいくつかの応用例が見られるようになっています。」

投資家にとってのプラス材料は、量子コンピューティングが十分な資金を確保し、計画通りに開発が進んでいることです。「しかしながら、投資家は、この分野がまだ利益を生み出す前の段階であり、資本集約型であることを認識する必要があります」とホームズ氏は言います。「そのため、長期投資としてどのような成果が得られるのか、そして生産性の向上がどのように、どこでもたらされるのかは、依然として非常に不透明です。」

投資家が量子コンピューティングへの道を歩み始める中、2025年に最も大きな可能性を秘めた業界銘柄はどれでしょうか？新たな市場機会が拡大する中、2025年後半に上昇が見込まれる量子コンピューティング関連銘柄は以下の8つです。

量子コンピューティング株	1年間のパフォーマンス	3年間のパフォーマンス*
Alphabet Inc.（ティッカー：GOOG、GOOGL）	20.9%	19.7%
マイクロソフト社 ( MSFT )	19.7%	21.5%
フォームファクター株式会社 ( FORM )	-45.2%	-6.2%
イオンキュー株式会社（IONQ）	378.4%	77.7%
インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション（IBM）	24.8%	23.3%
Nvidia社（NVDA）	36.2%	114.1%
リゲッティコンピューティング株式会社 ( RGTI )	1,438.5%	41.7%
クォンタムコンピューティング株式会社 ( QUBT )	2,060.3%	65.3%

アルファベット社 ( GOOG、GOOGL )

アルファベットの株価は過去3カ月間で反発しており、GOOGの株価はその期間に18.6％上昇し、年初来では5.7％上昇している。

同社は8月中旬、AI能力が180カ国に拡大したと発表し、人工知能（ AI）分野でも大きな話題を呼んだ。これは、Googleの量子コンピューティングにおける同様の広範な取り組みにプラスとなるはずだ。AIは量子コンピューティングの発展において重要な役割を果たすはずで、Nature誌は、将来量子コンピュータの「頭脳」として機能する可能性のある原子グリッドの高速な組み立てを計算する方法を発見する、合肥にある中国科学技術大学のチームによる新たな研究を報じている。

このレポートは、Googleの量子AI研究所所長ハルトムート・ネヴェン氏の発言を受けて発表された。ネヴェン氏は、材料科学、医療、エネルギーといった主要分野で、5年以内に商用化された量子コンピューティングアプリケーションが稼働すると示唆した。Googleは独自の量子コンピュータの開発に着手しており、2030年までに現在のコンピューティング能力を大幅に上回る速度で出力を生成し、複雑なタスクを完了できるようになる可能性がある。

「量子AI研究所は、多角経営の巨大企業内でのディープテックへの賭けである超伝導量子ビットの推進を続けている」とホームズ氏は言う。

マイクロソフト ( MSFT )

マイクロソフトの株価は過去3ヶ月で11.6%上昇し、年初来では20.2%上昇しています。このソフトウェア大手の524億ドルの粗利益は業界平均を大きく上回っています。アルファベットと同様に、マイクロソフトも量子コンピューティングに全面的に投資しており、この技術の地位向上と無限の可能性について言及しています。「量子コンピューティングは、経済のあらゆる分野を変革する可能性を秘めているだけでなく、これまで克服できなかった課題にも取り組み、科学、医学、テクノロジーの分野における道を切り開きます」と、マイクロソフトの副会長兼社長であるブラッド・スミス氏は述べています。「化学、創薬、材料、エネルギー、農業における可能性は、現代の重要な課題のいくつかを解決する上で大きな可能性を秘めています。」

「マイクロソフトは2025年にもさらなる飛躍的進歩と発表を行う重要なプレーヤーになる可能性が高い」と、ディープテクノロジー投資家であり、近日発売予定の書籍『シンギュラリティ・パラドックス：人類とAIのギャップを埋める』の著者でもあるアンダース・インドセット氏は語る。

「初期の投資家は、まずさまざまなアプローチをより深く理解するために大手テクノロジー企業を選び、その後、より大きな利益を得られるよりリスクの高いプロジェクトを探すかもしれない」とインドセット氏は言う。

フォームファクター ( FORM )

カリフォルニアを拠点とするこの技術テストおよび測定ソリューションのサービスプロバイダーは、株価が年初来で37%下落し、過去3か月間で11%下落するなど、2025年には厳しい状況に陥るだろう。

今年のFORM社の苦境は一体何だろうか？まず第一に、同社は第2四半期の業績が大幅に下回り、純利益はアナリストのコンセンサス予想である1,320万ドルを下回る910万ドルにとどまった。同四半期の売上高は緩やかに増加したものの、投資家を満足させるには至らず、第2四半期の決算発表直後に大量の株式を売却した。このニュースを受けて、株価は15%下落した。

しかし、FORM社には、特にAIと量子コンピューティングの分野において、希望が尽きることはありません。同社はプローブカード技術を専門としており、量子コンピューティング業界の重要なコンポーネントであるAI開発に不可欠な高帯域幅メモリのテストを効率化します。

FORM社は、テキサス州ファーマーズブランチに5万平方フィートのクリーンルームを含む新しい製造施設を買収し、量子コンピューティングに大きな賭けに出ました。同社はこの施設で会社の生産を高め、プローブカード製品の製造を加速させる予定です。

同社は量子テスト分野で優れた実績を誇り、最近では量子コンピューティングデバイスの追跡と監視を容易にする新しい極低温プローブステーションを発表しました。また、量子チップ開発において極低温を正確に測定できるPQ500プローブソケットの販売においても、FormFactorは優れたポジションを築いています。

イオンキュー株式会社（IONQ）

量子コンピュータ新興企業の代表格である、メリーランド州カレッジパークに拠点を置く量子コンピューティング開発企業IonQは、株価が年初来11%下落し、勢いを失っています。しかし、過去1年間で378%、過去90日間で11%と、依然として驚異的な上昇を見せており、勢いを保っていることを示しています。IonQは、Amazon Web Services、Microsoft、Google Cloudをはじめとする一流企業とのビジネスパートナーを誇っています。

IonQは最近、英国に拠点を置く量子コンピューティングのスタートアップ企業であるOxford Ionicsを11億ドルで買収し、量子コンピューティング技術の保有比率を高めました。この買収は、IonQが6月初旬にボストンに拠点を置く量子インターコネクト企業であるLightsynq Technologies Inc.を買収した直後のことでした。

Oxford Ionicsは、IonQの注力分野であるトラップイオン量子コンピューティングにおいて付加価値をもたらすため、IonQにとって特に有益となるはずです。IonQと同様に、Oxford Ionicsは2025年初頭にDARPAの量子ベンチマーク・イニシアチブに選定されました。このイニシアチブは、2033年までに実用規模で運用可能なフォールトトレラントな量子コンピュータの構築を目指しています。

「IonQの堅固で成長を続ける特許ポートフォリオは、数年前に策定された戦略の直接的な成果です。この戦略は、複数の業界とアプリケーションにわたる量子技術の開発と保有を伴います」と、IonQのCEOであるニッコロ・デ・マシ氏はプレスリリースで述べています。「これらの特許により、IonQはスケーラブルで高性能、かつ費用対効果の高いシステムの開発を継続し、比類のない商用量子優位性の実現を加速させることができます。」

「IonQはすでに10億ドルの資金調達を実施しており、売上高は前年比80%増と成長を続けています」とホームズ氏は語る。「オックスフォード・アイオニクスとの合併は、同社の強力なクラウド統合を示すものですが、株価は現在割高です。」

IBM（IBM）

IBM株は2025年に入り勢いを失い、過去3ヶ月間で7.6%、過去30日間で15.3%下落しました。しかし、年初来では11.1%上昇しており、2.8%という魅力的な配当利回りも魅力です。

IBM は、29 四半期連続で配当金を引き上げており、株主にとって嬉しい配当企業である。127 億ドルのフリーキャッシュフローを考慮すると、今後もさらに引き上げられる可能性が高い。

量子分野では、IBMは最近、ニューヨーク州ポキプシーにある同社の新しいIBM Quantumデータセンターで構築される、新しい「大規模でフォールトトレラントな」量子コンピュータ「IBM Quantum Starling」の納入時期を2029年と発表しました。同社は、この装置を現在利用可能な量子コンピュータと比較し、Starlingは「世界で最も強力なスーパーコンピュータの10兆倍以上のメモリ」を搭載し、2万倍の演算処理能力を持つと予想しています。

IBMの投資部門であるIBM Venturesは、量子コンピューティング分野への5億ドルの投資を発表しました。これは主にソフトウェアに焦点を当て、IBMのハードウェアへの取り組みを強化するものです。この5億ドルは、IBMの量子ビジョンを推し進める20社のテクノロジー系スタートアップへの投資にも充てられます。IBMのベンチャーキャピタル責任者であるエミリー・フォンテーヌ氏は、量子コンピューティングを強く支持しており、IBMは量子を「コンピューティングの新たなフロンティア」と捉え、「莫大な経済的メリットをもたらすだろう」と述べています。

Nvidia（NVDA）

2025年初頭に株価が約20%下落したNvidiaはその後反発し、NVDAの株価は過去90日間で33%上昇しました。アナリストは再びこのAI半導体大手を支持しており、ウェドブッシュは来週のNVDAの第2四半期決算発表を前に、同社の目標株価を20%引き上げました（現在、1株あたり約177ドル）。Evercore ISIもNVDAの予想株価を190ドルから214ドルに引き上げました。

「NVIDIAは量子関連企業との提携により、GPUの専門知識を活用でき、有力な選択肢となっています」とIndset氏は語る。10年前に人工知能とGPUに賭けて成功を収めた同社のCEO、ジェンスン・フアン氏は、現在、商業的に大きな可能性を秘めた量子技術に軸足を移している。

「量子コンピューティングは転換期を迎えています」と、黄氏は最近パリで開催されたViva Tech 2025カンファレンスで述べた。「今後数年間で、興味深い問題を解決できる分野に量子古典コンピューティングを適用できる可能性が高まっていることは明らかです。」

黄氏はまた、エラー回避と訂正、計算能力、拡張性における大きな進歩を考慮すると、「論理量子ビットは5年ごとに10倍、10年ごとに100倍になると確信している」と述べた。

リジェッティ・コンピューティング ( RGTI )

カリフォルニア州バークレーに本社を置くリゲッティの株価は、年初来で6.5%下落しているものの、過去1年間では1,439%上昇している。アナリストの間では、RGTIは魅力的だが変動の激しい銘柄との評価が高まっている。キャッシュフローは潤沢だが、収益見通しは不透明だ。

リゲッティは最新の収益発表で、収益が42%減少し、純利益が4,000万ドル（約220%減）減少したと報告した。この損失の大部分は一時的な会計費用によるものだという。

同社は、Rigetti Quantum Cloud Servicesプラットフォームを通じて、世界中の企業、政府機関、研究機関向けに超伝導技術を活用したフルスタック量子コンピューティングサービスを提供することを目指しています。急速に拡大する顧客リストには、NASA、米国空軍研究所、HSBCホールディングス（HSBC）などが含まれます。Rigetti 社は量子市場の研究開発にも力を入れており、9 量子ビットの Novera QPU を使用した量子研究を推進するためにモンタナ州立大学と新たに提携すると発表しました。これにより、MSU は Rigetti の量子コンピュータを導入する最初の大学となります。

「リゲッティは今年中に100量子ビット以上のシステムを開発することを目標としており、財務的には5億7100万ドルの流動性資金があり、負債はありません」とホームズ氏は語る。「収益は変動しますが、技術の進歩は有望です。」

クォンタム ( QUBT )

現在、クオンタム・コンピューティングの株価は1株あたり約15ドルで取引されていますが、年初来では11%下落、過去1年間では驚異的な2,060%上昇しています。しかしながら、同社の財務状況は打撃を受けており、QUBTは1株あたり26セントの損失を計上し、直近四半期の売上高は67%減の6万1,000ドルとなりました。

ニュージャージー州ホーボーケンに本社を置くQUBTは、光子（光の粒子）を用いて堅牢な量子コンピュータチップの計算処理を構築し、官民両企業に販売することに特化しています。米国政府はQUBTの主要顧客であり、商務省との大型契約を獲得したばかりです。QUBTは依然として投機筋の投資対象ですが、アナリストは同社の株価が今後1年間で32%上昇すると予想しており、現在25億ドルの時価総額は大幅に増加すると見込まれています。

「QUBTは2億ドルの資金援助を受けて、米国にフォトニックチップファウンドリーを構築しています」とホームズ氏は語る。「まだ初期段階の企業であり、リスクはありますが、同社は特にフォトニクス分野でのポジショニングに注力しています。」

市場見通し

量子コンピューティング（QC）の商用市場規模は、2025年に約16億ドルと推定され、2030年には73億ドルに拡大すると予測されています。

注目される銘柄

記事では具体的な銘柄を列挙していませんが、一般的にハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスまでQCに関わる注目銘柄とみなせる企業には、IonQやD-Wave、Alibaba（量子投資関連）、Google（Quantum AI）、Honeywell（Quantinuum）などが含まれます。

2025年8月時点の最新動向

市場動向・分析

D-Wave Quantum（QBTS） は2025年に株価が100％以上上昇。Q2には売上が42％増（約310万ドル）、現金資産は800〜815百万ドルと潤沢。
IonQ（IONQ） は特許・IP基盤が充実（1,000件以上の特許関連）し、Oxford Ionicsの買収も完了。CEOは“量子版Nvidia”を目指すと攻勢を強めています。
Rigetti Computing（RGTI） も「強気（Overweight）」評価と価格目標（約15ドル）があり、スーパーコンダクティング方式に注力。

大手テック企業の動き

Google（Alphabet） は「Willow」プロセッサ（105キュービット）で、複雑計算をスーパーコンピュータの比ではない短時間で完了させる成果を発表。ただし実用課題も指摘されており、技術成熟にはなお時間が必要とされています。
Microsoft は「Majorana 1」というトップロジカル量子チップの発表に加え、エラー耐性に優れる物理実装の進展もアピール。
IBM はモジュール型スケーラブル量子コンピュータ「Quantum System Two」を発表し、大規模システムへの拡張性とクライアント利用を強化中。

投資家・アナリストの見解

SEEQC CEO（John Levy） は、IonQ、D-Wave、Rigettiを「純粋な量子企業」として評価。一方、IBM、Microsoft、Alphabetなど大手はリスクが低く長期投資向きとする見方もあります。
Barron’s による Cantor Fitzgerald の分析：
- D-Wave に対し「Overweight」評価、目標価格20ドル。
- Rigetti には15ドルの目標設定。
- IonQ は約697百万ドルの資金と、Oxford Ionics買収などから45ドルの目標。

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Posted by sugi

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